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妖怪

猫又とはどんな妖怪!?特徴や伝説や化け猫との違いと何歳から猫又になるのかも紹介

皆さん、猫又(ねこまた)という妖怪をご存じでしょうか。長寿を全うした猫が妖怪に変わり、尾が二股に裂け、人間の言葉を話すようになるというこの伝説は、猫好きならずとも興味をそそられるかと思います。また近い存在として化け猫という存在もあります。化け猫と猫又は何がどう違うのでしょうか。さらに猫又と化け猫にはどんな伝説があるのでしょうか。今回はそんな以外と知らない猫又と化け猫の謎めいた世界を見ていきたいと思います。

猫又とは?

猫又は、日本各地の伝承や民話、怪談に登場する神秘的な猫の妖怪です。昔の猫の平均寿命は非常に短く、10年以上生きる猫は稀でした。そのため、「10年生きた猫は尻尾が二つに割れ、人の言葉を話すようになる」と言われていました。さらに、15年を過ぎると不思議な力を身につけるとも信じられていました。こうして猫又になった猫は、人に災いをもたらし、欺く存在として恐れられていたのです。

猫又の物語は大きく二つに分類されます。一つ目は、ペットとして暮らしていた猫が変化したもの。二つ目は、山に住む猫が変化したものです。猫又の姿は地域や書物によって異なりますが、尻尾が二つに分かれた姿が特に多く描かれています。長生きした猫が猫又に変わるという伝説は、日本だけでなく中国にも多く残されています。

猫又の特徴

猫又は、老齢になった飼い猫が変化する妖怪として知られています。特徴的なのは、尻尾が二股に分かれることです。長生きすることで不思議な能力を身につけるとされ、人間の言葉を理解したり話したりすることができると信じられています。

猫又は、二本脚で立ち、手ぬぐいを持って踊る姿が描かれることも多いです。また、黄色や黒色の毛を持つ猫が特に猫又になりやすいとされています。中でも、黒色の毛を持つ猫は特に強い能力を持つと伝えられています。さらに、大きな猫も猫又になりやすいと言われています。

何歳生きたら猫又になる?

(画像引用: ORIGAMI)

伝承によれば長寿を全うした猫が変化する猫又へ化けると言われていますが、具体的には何歳なのでしょうか。諸説ありますが、ざっくり20年も生きた猫が猫又になると信じられていました。猫が猫又に化ける年齢については地域によって異なり、沖縄では13年、長野や茨城では12年、広島では7年以上生きた猫が尻尾が分かれて飼い主を襲うといわれていました。

ちなみに猫の20歳は人間でいう96歳。かなりの高齢です。2015年度のペットフード協会の調査によれば、現代の猫の平均寿命は15.75歳です。現代では20年以上生きる猫もいますが、平均寿命を大きく超えているため、病気や感染症にかかりやすくなるので注意が必要です。

伝承の中で、長生きした猫が猫又に変わり、飼い主を襲うという話もありますが、実際には老いた猫ほど飼い主の心を深く理解し、癒してくれる存在です。尻尾の長い猫も短い猫も、大切にして末永くかわいがってあげましょう。

化け猫との違い

(画像引用: みんなの知識 ちょっと便利帳)

猫又と化け猫は、どちらも猫が妖怪化した存在として知られていますが、その違いは非常にあいまいで、多くの点で共通しています。化け猫の一種として猫又が含まれるという解釈もあります。では、それぞれの特徴と違いを見てみましょう。

歴史と起源

猫又の歴史は非常に古く、中国の随(600年頃)から伝わっています。当時は「猫鬼(びょうき)」と呼ばれ、人々に取り憑いてその財産を奪う存在として恐れられていました。猫鬼が取り憑いた人を祭ることで利益を得ようとする者がいたため、政府が撲滅に乗り出したほどです。しかし、随から唐へと時代が変わると、この伝説も次第に忘れ去られていきました。

日本においては、猫又も化け猫も鎌倉時代の著作にその起源を持ちます。藤原定家が書いた日記「明月記」には、1233年に「猫股(猫又)」という凶暴な獣が出現し、多くの人々を襲ったという記述があります。この猫股は山猫が原因とされ、猫の妖怪変化とは異なるものでした。

一方、化け猫は「猫の魔性」を基に存在しています。伊賀守橘成季が編纂した説話集「古今著聞集」には、嵯峨に住む法師と唐猫の話が記されており、法師が愛猫に与えた刀を取り上げようとする人々に対して、猫が魔の力を借りて立ち向かう様子が描かれています。

特徴と違い

猫又は、長年生きた猫が尾が二つに裂け、不思議な能力を身に着けた妖怪です。彼らは人間に化けたり、騙したりすることができる精霊や神のような存在として扱われています。猫又は、人間に災いをもたらすこともありますが、必ずしも悪意を持っているわけではなく、その行動はさまざまです。

一方、化け猫は人間に取り憑いたり、操ったりすることが多く、激しい恨みに基づく怨霊として描かれます。彼らはしばしば人間を殺すなどの悪事を働くことが多く、その存在はより恐ろしいものとされています。

猫又伝説と化け猫伝説

猫又と化け猫ではいくつかの伝説が存在してます。今回はその中でも有名な2つの伝説を紹介していきます。

猫又伝説「黒部峡谷の猫又山」

(画像引用: 山と渓谷オンライン)

昔々、富山県の黒部峡谷には恐ろしい猫又の伝説がありました。この猫又、もともとは富士山に住んでいた老いた猫でした。老猫はある日、狩りに巻き込まれ、他の獣たちと一緒に軍兵を襲い食い殺しました。彼はその後、富士山から追放される羽目に。

新たな住処を探していた老猫は、やがて黒部にたどり着きます。ここで彼は猫又となり、村人たちを襲い、恐怖の的となりました。その恐ろしい姿は人々を震え上がらせ、猫又の存在は村中に知れ渡ります。

ある日、大勢の狩人たちが猫又を退治しようと立ち上がりました。しかし、その恐ろしい姿に圧倒され、誰一人として捕まえることができませんでした。猫又はそのまま山から姿を消し、村には再び平穏が訪れました。

村人たちは、この出来事を忘れないように、猫又が住んでいた山を「猫又山」と名付けました。こうして「黒部峡谷の猫又山」の伝説は語り継がれています。

富士山から追放され、黒部峡谷で恐れられた猫又の物語は、今もなおこの地に息づいています。次に黒部峡谷を訪れるとき、もしかしたら猫又の影を見つけることができるかもしれません。

化け猫伝説「鍋島騒動」

(画像引用: 城びと)

江戸時代の佐賀藩には、恐ろしい化け猫の伝説が伝わっています。佐賀藩の2代目藩主、鍋島光茂の碁の相手を務めていた家臣が、ある日、光茂の機嫌を損ねて斬殺されてしまいます。この家臣の母は悲しみに暮れ、飼っていた猫にその無念を語り自ら命を絶ちます。母の血をなめた猫は、怨念を受けて化け猫となり、城内に潜り込んで毎晩光茂を苦しめるようになります。

この恐怖が続く中、光茂の忠臣たちは立ち上がり、ついに化け猫を退治することに成功します。こうして鍋島家は再び平穏を取り戻し、この出来事は「鍋島騒動」として語り継がれることになりました。

この恐ろしい化け猫の物語は、後に歌舞伎の演目「花嵯峨猫魔稗史(はなのさがねこまたぞうし)」として描かれ、実録本や講談でも広く伝えられています。佐賀藩の人々を震え上がらせたこの伝説は、今もなお多くの人々の心に残っています。次に佐賀を訪れるとき、この伝説に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。もしかしたら、夜の城内で化け猫の影を見ることができるかもしれません。

猫又がついた地名

このように日本各地で猫又の伝承が信じられていたため、中には「猫又」が地名にまで入り込んでしまった場所も存在します。ここではいくつかの地名を紹介します。

猫又山

富山県にある猫又山は、標高2378メートルの山で、魚津市と黒部市にまたがる毛勝三山(けかちさんざん)の一つです。この山の名前の由来には、興味深い伝承があります。かつて、黒部の山々に住みついた猫又が人々に追われ、この山に隠れ住んだと伝えられています。猫又は大きな猫で、人を襲うこともあったため、地域の人々に恐れられていました。

また、黒部川を下ると猫又駅や猫又谷など、猫又の名前がついた地名が点在しており、この地域での猫又の存在は信憑性が高く、実在していたとも言われています。猫又山は、その名前にちなんだ伝説や歴史を感じさせる場所として、多くの人々に知られています。

猫又駅・猫又谷

(画像引用: 北陸の私鉄.com)

富山県黒部市の黒部川近くには、猫又にちなんだ地名が点在しています。その一つが猫又駅です。この駅は黒部峡谷鉄道の一部で、関西電力専用の線路にあるため、一般の乗客は利用できませんが、その存在は地域の歴史と伝承を感じさせます。

猫又坂

(画像引用: 文京区ちょっとマニアックな町や物件紹介)

続いては東京都の猫又坂です。猫又坂は、猫又の伝説が色濃く残る場所です。この坂を下っていくと、小石川にぶつかり、その上に「根子股橋」が架かっています。この橋は、木の根を使って作られたため、「根子股橋」と呼ばれました。この場所には、猫が手ぬぐいを持って踊ったり、人間が猫に追いかけられたりするという猫又の伝説が数多く伝わっています。

猫又坂という名前は、この伝説に由来しています。猫又坂を訪れると、昔ながらの雰囲気と共に、猫又の神秘的な物語に思いを馳せることができるでしょう。伝説と歴史が交錯するこの場所は、多くの人々にとって興味深いスポットとなっています。

猫魔ヶ岳(ねこまがだけ)

(画像引用: 裏磐梯エコツーリズム協会)

福島県会津にある猫魔ヶ岳(標高約1404メートル)は、猫又の伝説が色濃く残る山です。かつて、この山に住んでいた山猫が山を下りて人間を襲ったと語り継がれています。しかし、この山猫は同時に神と崇められ、災難除けの霊験があると信じられていました。

近くの磐梯神社では、江戸時代まで山猫の絵が描かれた災難除けのお札が売られており、多くの人々がその霊験にあやかろうと訪れました。猫魔ヶ岳は、その名前と共に、猫又の伝説と山猫の神秘的な力を今に伝えています。この地を訪れると、昔の人々が感じた畏怖と敬意を感じ取ることができるでしょう。

猫又になってほしい?

ネットを見ると「猫又になってほしい」という検索や投稿が目立つことに気付くと思います。猫又になってほしいなんでどういった要望なのでしょうか。しかしそれらの投稿をよく見てみると本当にしっぽが二つに割れた不思議な能力を持った猫の妖怪になってほしいと思っているわけではないことが分かりました。

「猫又になったほしい」という願いは飼い主によるものでした。彼らは飼い猫が「猫又」になってほしいのではなく、猫又になるくらい長生きしてほしいと思っての書き込みだったのです。猫又になるには20年など長く生きなければいけません。愛する飼い猫と長く時を過ごしたい飼い主たちの愛情が「猫又になってほしい」という表現に昇華されていたのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は猫又について紹介してきました。猫又は、日本の伝承に登場する神秘的な妖怪で、特に長く飼われた猫や野生の山猫が年を重ねて変化するとされています。長寿を全うした猫は、尾が二股に分かれ、人間の言葉を話すなどの不思議な能力を持つようになると信じられています。猫又は人々に災いをもたらすこともありましたが、その存在はまた、猫の持つ神秘的な魅力と力を象徴するものとして、地域ごとにさまざまな形で語り継がれています。この妖怪伝説は、日本文化における猫の重要性とその魅力を強調しています。

本サイトでは猫又以外にも様々な日本の面白い歴史や文化を紹介しています。もし興味ある方はぜひ他の記事も読んでいただけると幸いです!

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