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妖怪

ぬらりひょんは何する妖怪?正体や特徴と妖怪の総大将という噂を紹介

皆さん、ぬらりひょんという妖怪をご存じでしょうか。最近ではアニメや漫画にも登場して名前は耳にしたことある方もいるかと思います。ぬらりひょんは、日本の伝統的な妖怪の中でも特に謎に包まれた存在です。一見、和服姿の優しいおじいさんに見えるぬらりひょんは、夕方の忙しい時間に家に忍び込み、気づかれずにくつろいでしまいます。しかし、その正体は岡山県や秋田県の伝承によって異なり、海坊主や百鬼夜行の一員ともされます。ぬらりひょんの不思議な魅力と、多様な伝承に迫ります。

ぬらりひょんはどんな妖怪?

(画像引用: オカルトタウン)

ぬらりひょんは一般に「瓢箪鯰(ひょうたんなまず)」のように掴みどころのない妖怪として知られています。江戸時代の妖怪絵巻にはその姿が多く描かれているものの、詳細については明らかにされていません。民間伝承においては、秋田県では百鬼夜行の一員、岡山県では海坊主の一種としてその名前が登場しますが、これらの描写と「ぬらりひょん」の関係ははっきりしていません。

また、「妖怪の総大将」ともされることがありますが、これは後世の誤伝や俗説に基づくものであるとされています。おそらく近年水木しげるが自ら妖怪本にぬらりひょんを「妖怪の総大将」として描き、さらにアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』でラスボスとして描かれたことによりイメージとして定着したと考えられます。

ぬらりひょんは何する妖怪?

「ぬらりひょん」は妖怪の総大将と称される存在です。一見すると普通のおじいさんにしか見えませんが、夕方の忙しい時間にどこからともなく現れ、勝手に家に上がり込みます。家の中でお茶を飲んだり、時には家主のきせるを使ってたばこを吸ったりして、まるで自分の家のようにくつろいでしまいます。家の者たちは忙しさのあまり、この妖怪の存在に気づかないことが多いのです。

ぬらりひょんの特徴

ぬらりひょんは、和服姿の年配男性として描かれることが多い妖怪です。その最大の特徴は、髪の毛が生えていない大きな頭です。横に長く伸びた頭を持ち、その姿は一目で妖怪だとわかります。しかし、その顔は優しく温和な表情をしているとされ、着ている着物も非常に質の良いものとされています。

ぬらりひょんの正体

(画像引用: Wikipedia)

ぬらりひょんの正体については、クラゲやタコなどの説があります。特に備讃灘のぬらりひょんについては、クラゲであるという説が有力です。この説によれば、ぬらりひょんはタコクラゲのような存在で、捕まえようと近づくと海の底へ沈んでいき、諦めて戻ろうとすると再び浮かび上がってくるため、クラゲではないかと考えられています。

妖怪画のぬらりひょん

(画像引用: 妖怪大好きブログ)

江戸時代の国語辞典『俚言集覧』には、ぬらりひょんについて「古法眼元信化物画」と簡潔に記載されています。また、『嬉遊笑覧』によれば、古法眼元信が描いた化物絵の中にぬらりひょんの名称が確認できます。さらに、『百怪図巻』(1737年、佐脇嵩之)や『百鬼夜行絵巻』(1832年、尾田郷澄、松井文庫所蔵)など、多くの絵巻物にもその姿が描かれています。ぬらりひょんは特徴的な形をしたはげ頭の老人として描かれ、着物や袈裟を着ていることが多いですが、詳細な解説はありません。

江戸時代の浮世草子『好色敗毒散』には「その形ぬらりひょんとして、たとえば鯰に目口もないようなもの、あれこそ嘘の精なれ」という表現があり、ぬらりひょんはのっぺらぼうのような形容詞としても使われていたことがわかります。

鳥山石燕の『画図百鬼夜行』には、駕籠から降りるぬらりひょんが描かれています。この描写には解説文がないため詳細は不明ですが、「ぬらりん」とは乗り物から降りることを意味し、これがぬらりひょんの名前に関連していると考えられています。また、ぬらりひょんは遊里通いの放蕩者としても描かれているという説もあります。

京極夏彦や多田克己によれば、「ぬらり」は滑らかな様子、「ひょん」は奇妙な物や思いがけない様子を意味し、ぬらりひょんという名前はつかみどころのない妖怪であることからつけられたとされています。『画図百鬼夜行』では「ぬうりひょん」と表記されていますが、これは文献や絵巻物での先例から単なる誤記であると考えられています。

ぬらりひょんの伝承

岡山県では、平川林木によると、ぬらりひょんは海坊主に類するものとされ、瀬戸内海に浮かぶ人の頭ほどの大きさの球状の妖怪とされています。捕まえようとすると沈んだり浮かんだりを繰り返して人をからかい、「ぬらり」と手をすり抜け、「ひょん」と浮いてくるため、この名前が付けられたと言われています。現実には、大型のクラゲやタコ、例えばカツオノエボシやタコクラゲが妖怪視されたものではないかと考えられています。このため、老人の姿をしたぬらりひょんとは別物と見なされています。

秋田県では、江戸時代の旅行家・菅江真澄の『菅江真澄遊覧記』の『雪の出羽路』(1814年)において、ぬらりひょんが百鬼夜行の一員として記されています。同書には、「さへの神坂」(さえのかみざか、道祖ノ神坂)が出羽国雄勝郡稲庭郷沢口村にあるとされ、その坂を通るときに男が女に、女が男に出会うことがあり、また、ぬらりひょんやおとろし、野槌などの妖怪が百鬼夜行するという伝承が記されています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はぬらりひょんを見ていきました。ぬらりひょんは、日本の各地でさまざまな姿と伝承を持つ妖怪です。和服姿の老人として家に忍び込む姿から、海に浮かぶ球状の妖怪まで、その形態や性質は地域ごとに異なります。しかし共通して言えるのは、ぬらりひょんが人々の生活に神秘と不思議をもたらしてきたということです。時代を超えて語り継がれるこの妖怪は、現代でもなお、私たちの想像力をかき立てる存在であり続けています。

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