皆さん、日本で縁起のいいお花や植物をご存じでしょうか。日本には、古くから縁起の良いとされる植物が数多く存在し、その美しさや意味合いが私たちの暮らしに深く根付いています。例えば新年の門出や特別な節目には、こうした植物がもたらす福や幸運を求めて、家や庭に飾ることが一般的です。今回は、伝統的な文化に彩られた縁起の良い植物たちを、由来や意味と共にご紹介します。季節ごとの飾りにぜひ役立ててみてください。
正月に縁起がいい植物
まず最初に新しい時を迎える正月に縁起がいい植物を紹介していきます。
松
縁起のいい植物といえばまずは松竹梅が挙げられます。まずは松について見ていきましょう。松は、四季を通じて青々とした葉を保つことから、日本や中国で古くから縁起の良い植物とされてきました。盆栽やいけばなにおいても、その生命力と美しさから重宝されています。また、「神を待つ(まつ)」「神を祀る(まつる)」という言葉にも通じることから、神仏の宿る木として尊ばれ、神仏への奉納にも用いられてきました。
日本国内で流通している松には、黒松、赤松、五葉松、大王松の四種類があり、それぞれ若松や小松といった商品名で分類されています。正月飾りに松を用いることは、新しい一年を迎えるにあたり、家に神聖な力を呼び込み、幸運をもたらす縁起の良い象徴となるため、古くから大切にされています。
竹
続いて竹です。竹は、その急速な成長力と一年中青々とした姿から、古くより縁起の良い植物とされてきました。「斎竹(イミダケ)」として、結界の四隅に立てることで不浄を防ぐ役割を持ち、現在でも地鎮祭などの儀式でその風習が活用されています。また、竹は食材や工芸品の素材としても広く親しまれており、その多様な用途が生活に密着しています。
正月飾りである門松に竹が使用されているのも、多くの人がよく知るところです。竹は、その真っ直ぐに伸びる姿と強い生命力から、新しい年に向けた希望や繁栄を象徴し、正月に飾ることで家に幸運を呼び込むとされています。
梅
松竹梅の最後は梅です。梅は、春を告げる花木のひとつで、寒さ厳しい季節にいち早く花を咲かせることから、強さと縁起の良さを象徴する花とされています。また、天神様の花木としても広く知られています。
梅は大きく分けて、花を楽しむ「花梅(はなうめ)」と、実を収穫するための「実梅(みうめ)」という品種に分類されます。特に花梅は、12月頃から咲き始める冬至梅(とうじばい)など、早咲きの品種が多いのが特徴です。一方、実梅の開花は2月から3月にかけてが多く、梅の花は長い期間にわたって楽しむことができます。
正月に梅を飾ることで、新しい一年に力強さと希望をもたらし、縁起の良い象徴として家を彩ることができるでしょう。
菊
菊は、その豊かな芳香と気品ある姿から、古くより縁起の良い花とされてきました。邪気を払い、長寿延命の力があると信じられており、正月飾りにもふさわしい植物です。中国では、菊は蘭・梅・竹とともに「四君子」と称され、観賞用や食用として大切にされてきました。
菊の花は、色のバリエーションが豊富で、大輪のものから小輪のものまでさまざま。花もちも良いため、長期間楽しむことができます。最近では、個性的な花形や鮮やかな花色を持つ新しい品種も登場し、その魅力が再び注目されています。正月に菊を飾ることで、新しい一年に健康と長寿、そして幸運を呼び込むことができるでしょう。
千両
千両は、その名前からして縁起の良い植物とされ、日本の伝統的なお正月飾りには欠かせない存在となっています。その名前の由来は、赤い実をたくさんつける万両に対して、やや実が少ないことから「千両」と名付けられたと言われています。一般的には赤い実がよく知られていますが、黄色い実をつける黄千両も市場で見かけることがあります。
万両は主に庭木として育てられており、切り枝としての流通はほとんどありませんが、千両はお正月の飾りとしても人気が高く、その鮮やかな実が新年の華やかさを引き立てます。千両を飾ることで、家に幸運と繁栄をもたらす縁起物として、新年を迎える準備にふさわしい植物です。
水仙
水仙は、寒さ厳しい冬にも花を咲かせることから、縁起の良い花として古くから親しまれています。地中海沿岸が原産の水仙は、ギリシャ神話に登場する美少年ナルシスにちなんで「ナルキッサス」という学名が付けられています。日本へは弥生時代後期頃に中国を経て伝わったと言われており、人々の手で伝えられたという説や、能登半島や伊豆半島、房総半島などの海岸近くに群生していることから、海流によって運ばれたというロマンあふれる説も存在します。
正月に水仙を飾ることで、新しい一年に耐え忍びながらも美しく咲き誇るその姿が、家庭に福をもたらし、希望を象徴する縁起の良い飾り物となるでしょう。
受験や勝負運に縁起がいい植物
春先といえば受験シーズン。そんな受験シーズンに縁起がいい植物を見ていきます。
桜
日本の春の風景には欠かせない桜は、受験シーズンに縁起の良い植物として広く親しまれています。かつて、受験に合格した際には「サクラサク」と記された電報が送られていたことから、桜は合格祈願のシンボルとされています。合格発表が行われる春先、まるで合格を祝福してくれるかのように、桜は一斉に咲き誇ります。
桜の花言葉は「あなたに微笑む」であり、その優しい意味が、受験生への応援や合格祈願にぴったりの花として、多くの人々に愛されています。桜の花が咲く春は、新たなスタートを切る受験生にとって、希望と喜びを象徴する特別な季節です。
月桂樹
月桂樹は、地中海原産の常緑高木で、その芳香のある葉はハーブとして料理に使われることもあります。月桂樹が縁起の良い植物とされる理由は、古代ギリシャにおいて戦いの勝者に月桂樹の冠が授けられていたことに由来します。
また、月桂樹の花言葉には「栄光」や「勝利」があり、これが縁起物とされる所以でもあります。現代においても、オリンピックの授賞式で選手に月桂樹の冠が贈られることから、その象徴的な意味が受け継がれています。
受験シーズンに月桂樹を贈ることで、合格という「勝利」への願いを込め、努力が実を結ぶことを応援する気持ちを伝えることができます。月桂樹は、受験生にとって栄光の瞬間を迎えるための縁起の良い植物として、希望を象徴する贈り物になるでしょう。
胡蝶蘭
胡蝶蘭は、その特徴的な花形がまるで蝶が舞っているようで、美しさと華やかさを兼ね備えた花です。お手入れ次第で長く楽しめるため、お祝いの贈り物として非常に人気があります。その花言葉は「幸福が飛んでくる」であり、蝶が幸運を運んでくれるという意味合いから、合格祝いにもぴったりです。
受験シーズンには、胡蝶蘭を贈ることで、幸運が訪れるよう祈る気持ちを伝えることができるでしょう。その華やかな姿は、受験生にとって希望の象徴となり、合格を祝福する縁起の良い贈り物として喜ばれることでしょう。
結婚など祝いの場で縁起がいい植物
結婚祝いなどでお花のプレゼント贈る機会もあるかと思います。どうせプレゼントするなら縁起がいい花を送りたいですよね。そこでここでは結婚など祝いの場で縁起がいい植物を見ていきます。
バラ
誰もが知るバラは、そのエレガントさと華やかさで、特別な場面を一層引き立てます。多くの花びらと豊かな香りが、贈り物としての品格をさらに高め、結婚祝いにふさわしい花といえます。バラの魅力は、その色によって異なる花言葉にあります。たとえば、赤いバラは「愛情」や「美」、「情熱」を象徴し、新しい門出を祝うにふさわしい花です。一方、青いバラは「神の祝福」という特別な意味を持ち、結婚式にも最適な花言葉を伝えます。新郎新婦に対する深い祝福と共に、バラを贈ることで、より一層の喜びを届けることができるでしょう。
南天
南天は、冬に赤い小さな実をつける低木で、その名から「難を転ずる」といわれ、古くから縁起の良い植物とされています。そのため、多くの家では鬼門の方角に植えられることが多いです。また、中国では果実だけでなく、樹皮や根も薬用として重宝されています。日本では、冬のいけばなにもよく使われ、松や竹との相性が良いため、和装の結婚式でもブーケや卓上アレンジメントにしばしば取り入れられます。南天は、結婚祝いにおいて、二人の門出を守り、幸運をもたらす縁起の良い植物として、心を込めた贈り物になるでしょう。
カスミソウ
カスミソウは、その繊細で可憐な印象から、他の花との相性も抜群で、アレンジメントに広く用いられています。また、ウェディングドレスとの調和が美しく、結婚式場でよく目にする花の一つです。近年では、カスミソウだけで作られた花束や、色水を吸わせたカラフルなカスミソウも人気を集めています。その花言葉は「幸福」や「永遠の愛」であり、結婚祝いにふさわしい意味を持っています。新しい人生の門出を祝うにふさわしいカスミソウは、永遠の愛を象徴し、幸せな未来を願う贈り物として最適です。
お見舞いなど健康運に縁起がいい植物
お見舞いにお花を持っていく機会もあるかと思います。そんな場面に縁起がいい植物を見ていきます。
牡丹
牡丹は、大きく美しい花を咲かせ、その柔らかく控えめな香りと幾重にも重なる花びらの美しさで、多くの人々に癒しを与えます。特に、牡丹が散る様子は縁起が良いとされています。花がしおれる際、頭から落ちるのではなく、花びらが一枚ずつ静かに舞い落ちるため、その優雅な姿が縁起を象徴すると言われています。
お見舞いに持っていく際には、色選びに気をつけることが大切です。白や青、紫といった寒色系の色は、お悔やみのイメージを連想させるため、アレンジメント全体を寒色でまとめるのは避けた方が無難です。ただし、これらの色をワンポイントとして取り入れる程度であれば問題ありません。牡丹の持つ縁起の良さを生かし、適切な色合いで心を込めた花束を贈ると、喜ばれることでしょう。
グロリオサ
グロリオサは、鮮やかな赤と黄色の花を咲かせ、その華やかさからアレンジメントや花束のアクセントとしてよく用いられます。この花の持つ花言葉は「栄光」や「勇敢」であり、その燃え上がる炎を思わせる姿は、健康を願うお見舞いの場にふさわしいものとされています。鮮烈な色彩と力強い印象で、贈る相手にエネルギーと元気を届ける素晴らしい花です。
カジュマル
ガジュマルは、力強く根を張る姿から、その生命力を感じさせる観葉植物です。育てやすく初心者でも簡単に手入れができるため、どなたに贈っても大切に育ててもらえるでしょう。ガジュマルの花言葉は「健康」であり、その意味からもお見舞いにぴったりの植物です。
ただし、一部では根を張る植物が「病院に根を張る」という意味合いを持つことから、入院中の方に贈るのは避けた方が良いという意見もあります。したがって、贈る相手や状況に応じて慎重に選ぶことが大切です。それでも、ガジュマルの持つ強い生命力と健康を象徴する意味を考えると、適切な場面では素晴らしい贈り物となるでしょう。
魔除けや邪気払いの縁起がいい植物
最後に魔除けや邪気払いに効く縁起のいい植物を見ていきます。魔除けや邪気払いの植物を家に置くことを検討している方は必見です。
サンスベリア
サンスベリアはその特徴的な尖った葉と土から勢いよく伸びる姿は独特の存在感を放っています。この鋭く尖った葉には、風水において邪気を払い、悪い気を浄化する力があるとされています。
特に、家の「顔」とされる玄関や、「陰」の気が強いとされる鬼門や水回りといった場所では、サンスベリアがその高い効果を発揮します。さらに、サンスベリアはマイナスイオンを放出することで空気を清浄にし、ホルムアルデヒドなどの有害物質を吸着してくれるため、お部屋を清潔に保つ役割も担っています。そのため、風水的に良い気を運んでくれるだけでなく、健康面でも一石二鳥の効果が期待できる嬉しいポイントです。
また、サンスベリアの和名「千歳欄」は、「長い年月」を意味する「千歳」に由来し、「永久」や「不滅」といった花言葉が付けられています。これらの要素から、サンスベリアは邪気払い・魔除けとして縁起の良い植物であり、家を守り、心地よい空間を作るための理想的な選択と言えるでしょう。
ユッカ・エレファンティぺス
ユッカは、その力強く上向きに伸びる葉が特徴的で、そのたくましい成長力から「青年の木」とも呼ばれています。このような力強さを持つユッカは、風水の考え方では、鋭い葉が邪気を払い、空間を浄化する効果があるとされています。また、ユッカの成長の速さは、仕事やビジネスの順調な発展を象徴し、風水では仕事運や金運を向上させると信じられています。ユッカは、家やオフィスに置くことで、邪気を払うと同時に、成長と繁栄をもたらす縁起の良い植物としておすすめです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。縁起の良い植物は、日本の文化や風習と深く結びついており、私たちの生活に彩りと意味を添えてくれます。それぞれの植物には、長寿、幸福、繁栄などの願いが込められ、日常に取り入れることで、心に安らぎや希望をもたらしてくれます。季節や場面に応じて、こうした植物を取り入れ、日本の豊かな伝統と共に、幸運を呼び込んでみてはいかがでしょうか。
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