皆さん、式神という言葉を聞いたことありますか?鬼滅の刃や呪術回線といった呪術を使う漫画やアニメが人気になり陰陽師という言葉を耳にする機会も増えてきたかと思いますが、式神はそんな陰陽師と深く関係しています。式神とは一体どんな存在なのでしょうか。式神にはどんな種類があるのでしょうか。また伝説の陰陽師である安倍晴明は式神使いとしても有名だったそうです。安倍晴明は一体どんな式神を操っていたのでしょうか。今回はそんな以外と知らない式神について紹介していきます。
式神とは?
まず最初に式神とは一体何なのか見ていきましょう。式神とは呪術を用いて占いをする官職である陰陽師が自由自在に操る鬼神・霊的な存在を指しています。式神は陰陽師の命令で動き、主に儀式などの目的のために働きます。式神の「式」とは使役するという意味で陰陽師に使役していることを示しています。式神は陰陽師が召喚した霊的存在なので、一般の人間はおろか陰陽師以外には見えません。
そんな陰陽師のパートナーのような働きをする式神ですが、伝説の陰陽師である安倍晴明は式神を操るのに長けていたと言われています。通常の陰陽師であれば儀式くらいしか活躍の場がなかった式神ですが、安倍晴明は式神と非常に仲が良く儀式以外にも部屋の掃除など日常の雑務をさせていたといいます。
式神の役割
陰陽道における式神の役割は、陰陽師を介して古代から中世日本の人々の日常生活や文化に深く根ざしていました。ここでは式神の主な役割を見ていきましょう。
悪行と善行の見極め
式神の一番の役割は、人々の心の中に潜む善悪を見極めることにありました。和紙に封じられ、式札として保管されるこれらの神秘的な存在は、陰陽師が必要と判断した際に呼び出されます。その際、式神は鳥や獣、あるいは異形の物として現れ、陰陽師の指示に従って行動すると言われています。その多様な形態は、室町時代の「泣不動縁起絵巻」など多くの絵巻物に描かれており、その時代の人々に広く信じられていたことを物語っています。
日常生活での役割
意外にも、式神は陰陽師の日常生活にも役立てられていました。特に有名な陰陽師、安倍晴明は式神を雑用や掃除に使っていたとされ、彼と式神との間には特別な絆があったと伝えられています。ただし、晴明の妻のように式神の存在を恐れる者もおり、そのような場合、晴明は式神を屋敷から離れた一条戻橋に隠していたとされます。このようなエピソードは、式神や陰陽師に対する身近で親しみやすい一面を提供しています。
災いを払う守護者
古代から平安時代にかけて、災いや不幸はしばしば妖怪や神の仕業とされていました。陰陽師は、式神を通じてこれらの災いを払い、人々を守る役割を果たしていたと言われています。現代でも、このような伝説は日本各地で舞台公演などの形で語り継がれており、古代の文化や信仰を今に伝える大切な要素となっています。
このように式神の役割には呪術的な要素や日常的な要素と幅広い領域をカバーしていました。そのため式神を操っていた陰陽師の重要性は計り知れません。それでは式神には一体どんな種類があったのでしょうか。
式神の種類
そんな式神ですが、大きく分けて3種類存在します。式神の召喚のされ方の違いで種類が次のように分かれます。
思業式神
陰陽師の思念から創造される式神です。陰陽師の能力が直接式神の力に反映されることが特徴的です。
擬人式神
紙や藁、草木で作られた人形に霊力を込めて創られる式神です。
意思を持たせたものは「上位式神」とされ、持たせなかったものは「下位式神」とされます。
悪行罰示神
過去に悪行を行った霊を打ち負かし、従わせた式神です。
この式神は強力だが、陰陽師の技量によっては制御不能になるリスクがあります。
この中で擬人式神は有名かと思います。漫画やアニメで札に術をかけて人形や動物の形をした物体を自分の分身のように動かす演出を見たことあるかと思います。それはこの擬人式神から来ていると考えられています。
式神一覧
陰陽師が操る式神には様々な形態をとっています。ここでは式神がどんな形態をとっていたのか一覧を紹介していきます。
十二天将
安倍晴明が使役したと伝えられる「十二天将」は、陰陽道における最強の式神として知られています。これらの神々は、古代中国の六壬神課に由来し、それぞれ青龍、朱雀、白虎、玄武などの守護神として象徴されます。十二天将は、特に悪業を罰する力に長け、安倍晴明の伝説の中で重要な役割を果たしています。
犬神
「犬神」は、犬の霊を使役したとされる式神です。特に、飢餓状態にある犬の首を切り落とし、その怨念を強化することで、強力な護り神や呪物として使役されました。犬神にまつわる話は、日本の民間伝承に数多く見られ、その怨念や力は恐れられていました。
前鬼・後鬼
役小角、修験道の開祖に仕えたとされる「前鬼・後鬼」は、夫婦の鬼の形をしています。役小角の側近として彼を守り、その霊力を高めるために使役されたと伝えられます。多くの寺院や神社における役小角像の近くで、この二体の鬼の姿を見ることができます。
カラス・黒猫
欧州の伝統における「使い魔」と同様、カラスや黒猫は、魔法使いや魔女に使役される動物として知られています。これらの動物は、その目立たない色合いから、偵察や伝言などの役割に適しているとされ、その忠誠心と魔法への感受性から、多くの物語や伝承に登場します。
蠱毒
「蠱毒」は、陰陽道における特殊な呪術の一つで、複数の生物を同じ器に入れて戦わせ、最後に生き残った生物の霊を利用するというものです。この極めて残酷な方法は、その強力な力ゆえに平安時代には禁止されましたが、その伝説は今も語り継がれています。
安倍晴明の式神である十二天将とは?
最後に伝説の陰陽師である安部晴明が扱っていた式神について紹介していきます。安部晴明が扱っていた式神は十二天将です。平安時代において、占いは陰陽師の大切な役割の一つでした。その際、よく使われた占術が「六壬神課」と呼ばれる中国から来た方法です。この占いでは、時間と十二支(十二動物のサイクル)、そして星座を組み合わせて未来を予測しました。この予測には「式盤」という特別な道具が必要で、この式盤には十二天将の名前が記されています。
十二天将は、北極星を中心に位置する星座に基づいており、木・火・土・金・水の五行や、十干、十二支、吉凶、陰陽、季節、方角などさまざまな要素に対応しています。六壬神課を使った占いでは、これらの要素を使って人の運命や様々な出来事を読み解いたとされます。
安倍晴明が書いた「占事略决」という文献には、十二天将が示すさまざまな意味について説明されています。占いで使われる一方で、十二天将はそれぞれが強力な神の将として、安倍晴明によって式神として呼び出されたとも伝えられています。これらの十二天将は、6人が吉を象徴する吉将と、6人が凶を象徴する凶将に分けられ、安倍晴明が使役した式神の中でも特に強力な存在でした。安部晴明は十二天将という非常に強力な占いの過程で複数の式神を召喚して操れる陰陽師はそうそう存在しませんでした。それぞれが単独でも強力な神様であり手なずけるのが難しかったにもかかわらず、12種類も操っていた安部晴明には脱帽です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は陰陽師が操っていた式神について紹介してきました。鬼滅の刃や呪術回線の影響で陰陽師の存在は有名になってきましたが、その陰陽師が自分の分身のように操っていたのが式神でした。その中でも十二天将は伝説の陰陽師 安部晴明が操ていた最強の式神としても有名です。
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