皆さん、おみくじを引いたことありますでしょうか?日本人であればだれもが一度はおみくじを引いたことあるかと思いますが、その内容や意味について詳しくご存じでしょうか。またおみくじとは一体どんな歴史があったのでしょうか。さらにおみくじを引いた後結ぶこともありますが、一体何故結ぶのでしょうか。また持ち帰った場合はどうやって捨てるのでしょうか。今回はそんな身の回りにあるにもかかわらず以外と知らないおみくじの歴史や内容について見ていきます。
おみくじの歴史
まず最初に日本のおみくじとはどんな成り立ちがあったのか見ていきましょう。おみくじの歴史を紐解く上で重要な出来事は、南北朝時代から室町時代初頭にかけて「天竺霊籤(てんじくれいせん)」が中国から伝わってきたことです。この「天竺霊籤」は、中国の古いくじ引きの形式を指し、これが日本のおみくじの原型となりました。
天台宗の僧である元三大師は、この「天竺霊籤」を基にして「元三大師百籖(がんざんだいしひゃくせん)」を作成しました。この元三大師百籖は、日本のおみくじの基礎となり、江戸時代に大流行しました。このくじ引きは、運勢や吉凶を漢詩に詠んだもので、現代のおみくじとほぼ同じ形式を持っていました。
明治時代に入ると、新政府は慶応4年(1868年)に「神仏分離令」を発布しました。この令により、神社は仏教由来のおみくじを使用することができなくなり、神社独自のおみくじを開発する必要が生じました。その結果、神社のおみくじには和歌が載せられることが多くなり、寺院のおみくじには漢詩が使われるようになりました。
このようにして、神社のおみくじは明治時代に再編され、仏教の影響を受けた寺院のおみくじとは異なる形態を持つようになりました。そのため、現代では「お寺のおみくじより神社のおみくじの方がわかりやすい」と感じることが多いのです。
おみくじの運勢の種類と意味
それではおみくじの運勢の種類を意味を見ていきましょう。
凶(きょう)
概要: 良くない運勢を示します。 意味: 困難や障害が予想されるため、慎重な行動が求められます。何か新しいことを始めるには適していない時期であり、リスクを避け、慎重に計画を進めることが重要です。現状の維持や見直しをする良い機会と捉え、冷静に対応することが求められます。
小凶(しょうきょう)
概要: 凶よりは軽いが、注意が必要な運勢です。 意味: 問題が起こる可能性があるが、重大な障害ではありません。細心の注意を払い、問題が大きくなる前に対処することで、トラブルを回避できます。小さな問題を丁寧に解決していくことで、大きな困難を避けることができるでしょう。
半凶(はんきょう)
概要: 部分的に悪い運勢を示します。 意味: 一部の事柄で困難が予想されますが、全体的には大きな問題ではありません。特定の分野での慎重な行動が求められます。計画の見直しやリスク管理を徹底することで、悪い影響を最小限に抑えることが可能です。
末凶(すえきょう)
概要: 凶の中でも最も軽い運勢です。 意味: 小さな困難や障害が予想されますが、前向きな姿勢で対処することが大切です。状況が悪化する前に対応することで、問題を解決できます。慎重に行動し、冷静に対処することが求められます。
大凶(だいきょう)
概要: 最も悪い運勢を示します。 意味: 多くの困難や障害が予想されるため、特に慎重な行動が必要です。リスクが高く、計画通りに物事が進まない可能性があります。この時期は新しいことを始めず、現状を維持し、慎重に過ごすことが推奨されます。信頼できる人の助言を求め、トラブルを未然に防ぐことが重要です。
おみくじの内容一覧
おみくじには運勢だけではなく、いろいろな人生の様々な項目についても助言が書いてあります。ここではおみくじに書かれている代表的な項目とその意味について詳しく解説していきます。
願望(ねがいごと)
意味: 願望が叶うかどうかについての助言が記されています。具体的な願い事が実現するかどうか、どのような努力が必要かについて示されています。
例:
- 大吉: 「願望はすぐに叶います。自信を持って進みましょう。」(願いが叶う時期。積極的に行動するべき)
- 中吉: 「願望は近い将来に叶います。少しの努力が必要です。」(少し努力が必要だが、結果は期待できる)
- 凶: 「願望は叶いにくいです。今は忍耐が必要です。」(願いが叶うには時間がかかる。忍耐が必要)
待ち人(まちびと)
意味: 期待している人やものが来るかどうかについての助言が記されています。
例:
- 吉: 「待ち人は近いうちに来るでしょう。」(待っている人がすぐに現れる)
- 凶: 「待ち人は来ないかもしれません。別の方法を考えましょう。」(待っている人が現れにくい時期)
失せ物(うせもの)
意味: 失くしたものが見つかるかどうかについての助言が記されています。
例:
- 吉: 「失せ物はすぐに見つかります。」(失くしたものがすぐに見つかる)
- 凶: 「失せ物は見つかりにくいです。新しいものを探す方が良いでしょう。」(見つけるのは難しい。新しいものを検討するべき)
旅行(りょこう)
意味: 旅行に関する助言が記されています。旅行の時期や行き先についてのアドバイスが含まれます。
例:
- 吉: 「旅行は吉。楽しい旅となるでしょう。」(旅行が成功し、楽しめる)
- 凶: 「旅行は避けた方が良いでしょう。危険が伴います。」(旅行にはリスクがあり、避けるべき)
商売(しょうばい)
意味: 商売やビジネスに関する助言が記されています。現在のビジネス状況や新しい事業に対するアドバイスが含まれます。
例:
- 吉: 「商売は順調に進みます。新しいことに挑戦してみましょう。」(ビジネスが順調に進む。新しい取り組みも成功しやすい)
- 凶: 「商売は停滞気味です。慎重に計画を見直す必要があります。」(ビジネスが停滞する可能性。計画の見直しが必要)
学問(がくもん)
意味: 学問や勉強に関する助言が記されています。学業の進展や試験の結果についてのアドバイスが含まれます。
例:
- 吉: 「学問は順調です。努力を続ければ成果が出ます。」(勉強が順調に進み、成果が得られる)
- 凶: 「学問に集中できません。環境を整えることが大切です。」(勉強に集中しにくい。環境の見直しが必要)
相場(そうば)
意味: 株式市場や投資に関する助言が記されています。市場の動向や投資のタイミングについてのアドバイスが含まれます。
例:
- 吉: 「相場は好調です。投資のチャンスが訪れます。」(市場が好調で、投資に良い時期)
- 凶: 「相場は不安定です。リスクを避けましょう。」(市場が不安定。リスクの高い投資は避けるべき)
争事(あらそいごと)
意味: 争いごとや裁判に関する助言が記されています。紛争や訴訟に対する結果とその対処方法についてのアドバイスが含まれます。
例:
- 吉: 「争いごとは勝ちます。自信を持って進めましょう。」(争いごとに勝利する可能性が高い)
- 凶: 「争いごとは不利です。和解を考えた方が良いでしょう。」(争いごとに不利。和解を検討するべき)
恋愛(れんあい)
意味: 恋愛に関する助言が記されています。恋愛運や恋愛の進展についてのアドバイスが含まれます。
例:
- 吉: 「恋愛は順調です。素直な気持ちを大切にしましょう。」(恋愛が順調に進む。素直な気持ちを持つことが重要)
- 凶: 「恋愛には障害があります。焦らず時間をかけましょう。」(恋愛に障害がある。急がず慎重に進めるべき)
転居(てんきょ)
意味: 引越しや転居に関する助言が記されています。引越しのタイミングや新しい住まいについてのアドバイスが含まれます。
例:
- 吉: 「転居は吉です。新しい環境での成功が期待できます。」(引越しが良い結果をもたらす。新しい環境で成功が期待できる)
- 凶: 「転居は避けた方が良いでしょう。しばらく待ちましょう。」(引越しは避けるべき。今は時期が悪い)
出産(しゅっさん)
意味: 出産に関する助言が記されています。出産の順調さや注意点についてのアドバイスが含まれます。
例:
- 吉: 「出産は順調です。母子共に健康です。」(出産が順調に進む。母子共に健康である)
- 凶: 「出産には注意が必要です。医師の指導をよく聞きましょう。」(出産に注意が必要。医師の指導をしっかり守るべき)
病気(びょうき)
意味: 健康や病気に関する助言が記されています。現在の健康状態や病気の進行についての予測が含まれます。
例:
- 吉: 「病気は回復に向かいます。安静にしていれば大丈夫です。」(病気が回復に向かう。適切な療養が重要)
- 凶: 「病気は長引く可能性があります。早めの治療が必要です。」(病気が長引く可能性。早期治療が必要)
縁談(えんだん)
意味: 縁談や結婚に関する助言が記されています。結婚の運勢や良縁についてのアドバイスが含まれます。
例:
- 吉: 「縁談は良縁です。進めても問題ありません。」(良い縁談が期待できる。進めても良い結果が得られる)
- 凶: 「縁談には問題があります。再考した方が良いでしょう。」(縁談に問題がある。慎重に再考するべき)
売り買い(うりかい)
意味: 売買や取引に関する助言が記されています。売買のタイミングや取引の成否についての予測が含まれます。
例:
- 吉: 「売り買いは順調に進みます。大きな利益が期待できます。」(取引が順調に進む。利益が期待できる)
- 凶: 「売り買いは避けた方が良いでしょう。不利な条件が多いです。」(取引は避けるべき。不利な条件が多い)
方位(ほうい)
意味: 方位に関する助言が記されています。特定の方向に進むことが良いか悪いかを示します。
例:
- 吉: 「北東の方角は吉です。そこに向かうと良いことがあります。」(特定の方向に進むと良い結果が得られる)
- 凶: 「南西の方角は避けましょう。トラブルが待っています。」(特定の方向は避けるべき。トラブルが予想される)
抱え人(かかえびと)
意味: 信頼する人や頼りにできる人がいるかどうかについての助言です。周囲の人間関係やサポートについての予測が含まれます。
例:
- 吉: 「信頼できる人が近くにいます。困ったときは助けを求めましょう。」(信頼できる人が周囲にいる。助けを求めるべき)
- 凶: 「今は周りに頼れる人が少ないかもしれません。自力で解決することを考えましょう。」(頼れる人が少ない。自力で解決する必要がある)
探し物(さがしもの)
意味: 探している物が見つかるかどうかについての助言です。失くしたものや探し物が見つかる可能性や、見つけるための方策について記載されています。
例:
- 吉: 「探し物は近くにあります。再度探してみましょう。」(探しているものが近くにある。見つけるために再度探すべき)
- 凶: 「探し物は見つかりにくいです。別のものを考えた方が良いでしょう。」(見つけるのは難しい。新しいものを検討する方が良いかもしれない)
おみくじを結ぶ理由と場所
実際におみくじを引いた後、引いたおみくじを結んだ経験がある方が多いと思います。一体なぜおみくじを結ぶのでしょうか。おみくじを引いた後に神社でおみくじを結ぶ行為には、神様とのご縁を結ぶという意味があります。結ぶことで、運勢を神様に預け、良い結果であれば感謝を、悪い結果であれば運勢の好転を願うことができます。また利き手と反対の手で結ぶことが推奨されています。これは困難な行いを達成したことを象徴し、凶運を吉運に転じる効果があると考えられています。
おみくじを結ぶ際には、神社に設けられた専用の場所を利用することが大切です。これにより、神様との正しいご縁を結ぶことができます。特に注意すべきは、榊やお手水などの神聖なものに結ぶことを避けることです。これらの神聖な場所におみくじを結ぶことは、神様や木の気を傷つけることになるため、専用の結び所を利用することが望まれます。
おみくじの捨て方
おみくじを引いた後、それを自分の道しるべとして身につけておきたい場合、持ち帰ることができます。しかし、不要になったおみくじを適切に処分する方法を知ることも大切です。以下に、おみくじの正しい捨て方を紹介します。
1. おみくじを引いた神社・お寺で処分する
最も適切な方法は、おみくじを引いた神社やお寺に返納することです。これは「お礼参り」の一環で、感謝の気持ちや祈願成就の報告として行われます。古いおみくじは、古札入れや返納箱に入れ、近くに賽銭箱があれば、おみくじと同等の金額を納めると良いでしょう。古札入れや返納箱が見当たらない場合は、社務所や寺務所に尋ねてみてください。
2. どんど焼きで処分する
正月飾りをお焚き上げする行事である「どんど焼き」でも、おみくじを処分することができます。小正月の1月15日頃に行われることが多いですが、地域によって日程が異なる場合があります。おみくじはそのままではなく、和紙や半紙で包んで処分するのが一般的です。
3. 近所の神社・お寺で処分する
おみくじを引いた神社やお寺が遠方にある場合、近所の神社やお寺でも処分が可能です。特に遠方で直接伺うことが難しい場合には、近所の神社やお寺で相談してみると良いでしょう。
4. 神社・お寺の許可を得て郵送する
旅先でおみくじを引いた場合など、直接返納するのが難しい場合は、郵送でおみくじを返納することも可能です。ただし、郵送を受け付けているか、またはお焚き上げ料が必要かどうかを事前に確認するようにしてください。
5. 自宅で燃えるゴミとして処分する
どうしても神社やお寺に持って行けない場合、自宅で燃えるゴミとして処分することも可能です。その際、塩で清めて感謝の気持ちを込めてから処分するようにしましょう。破り捨てることは避けてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回紹介したように、おみくじは古代中国から日本に伝わり、時代と共に形を変えながら人々に親しまれてきました。その歴史は、元三大師の「元三大師百籖」によって基礎が築かれ、明治時代の神仏分離令を契機に、神社と寺院で異なる形式を持つようになりました。現在では、おみくじは単なる運勢占いではなく、人生の道しるべとして多くの人々に利用されています。引いたおみくじの内容を正しく理解し、日々の行動に役立てることで、より良い未来を築く手助けとなるでしょう。
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