日本の神話には多くの神々が登場し、それぞれに魅力的な物語や象徴的な意味があります。しかし意外とどの神様が何の神様なのか、どんなことをした神様なのかはまとめられていませんでした。
そこで今回は有名な10柱の神様を紹介します。これを読んで日本の神話に興味を持ってくれると嬉しいです!
1.天照大神(あまてらすおおみかみ)
天照大神は太陽神であり、日本神話における最も重要な神様の一人です。彼女は高天原(たかまがはら)で光り輝く太陽として崇拝され、全ての生命の源とされています。有名なエピソードに、弟の素戔嗚尊(すさのおのみこと)の素行の悪さに心を痛めて天岩戸(あまのいわと)という洞窟に隠れてしまったところ、太陽神がいなくなったということで世界を暗闇に包んだ話があります。
2. 月読命(つくよみのみこと)
月読命は月の神で、天照大神の弟です。彼は夜空を支配し、夜の美しさと神秘を象徴しています。彼の冷静で慎重な性格は、月の静かで穏やかな光に反映されています。
月読命はある日、天照大神からウケモチノカミという神様の様子を見てくるようにに命じられました。月読命はウケモチノカミと対面しその汚い態度から切りつけて殺してしまいました。天照大神はウケモチノカミを殺した月読命に怒り心頭で決別しました。これがきっかけで昼(太陽の神: 天照大神)と夜(月の神: 月読命)は完全に分かれたと言われています。
そして斬られたウケモチノカミの体からはなんと稲や大豆などが産まれており、天照大神がその種子を畑に植えたところ、素晴らしい収穫を得ることができました。これが食べ物の起源とも言われています。
3. スサノオノミコト(すさのおのみこと)
スサノオは海と嵐の神で、天照大神と月読命の弟です。彼は勇敢でありながら時に荒々しく、その力は自然界の猛威を象徴しています。彼の最も有名なエピソードは、八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した話です。
スサノオは地上で7人の姉を毎年食われている娘に出会いました。娘は今年は私が食べられてしまうと泣いていました。そこでスサノオは娘そっくりに変装しました。そして家のまわりに垣根を張り巡らせ、その垣根に八つの門を設け、八つの門の先に強力な酒を準備しました。
こうして待ち構えていると、ヤマタノオロチが現れました。ヤマタノオロチは芳醇な香りの酒につられ、八つの頭をそれぞれ八つの門をくぐり、酒を飲んで酔っ払いました。そうしてヤマタノオロチが酔いつぶれると、スサノオは刃でヤマタノオロチを刺し、退治しました。
またこの退治の時、ヤマタノオロチの身体の中から見事な太刀が出てきました。この太刀が後々草薙の剣と呼ばれ、三種の神器という扱いを受けるに至りました。
4. 伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)
伊邪那岐命と伊邪那美命は創造神であり、日本列島を含む多くの島々を生み出したとされています。彼らの物語は、生命と自然の創造に関する深い教訓を含んでいます。
イザナミは火の神であるカグツチを生んだために死んでしまい、黄泉の国へ去ってしまいます。イザナミを強く愛していたイザナキはカグツチを殺し、イザナミを追って黄泉の国を訪れました。そしてもう一度この世に戻ってくれるよう、イザナミに懇願しました。
それに対して、イザナミはこう答えました。
「私はすでに黄泉の国の食物を口にしてしまったので、もとに戻れない。でも愛しいあなたのために黄泉の国の神に相談してみるから少し待ってください。その間は私の姿を決して覗き見しないでほしいのです」
しかし見ないでくださいと言われたら見てしまいたくなるのが本能。イザナキも例にもれず変わり果てたイザナミの姿を見てしまいました。そしてその変わりように恐れをなして逃げてしまいました。死者の姿を見られ怒り心頭のイザナミはイザナキを痛めつけようとしてそのあとを追いかけていきます。こうした死してもなお物語を繰り広げてくれるのがイザナキとイザナミです。
5. 菅原道真(すがわらのみちざね)
菅原道真は平安時代の実在の人物で、学問の神として広く崇拝されています。彼は生前、政治の世界で活躍しましたが、死後に神様として祀られ、学問の成功や合格祈願の象徴となりました。
(画像引用: 大宰府天満宮)
6. 稲荷大神(いなりだいじん)
稲荷大神は農業、特に稲作と豊穣の神です。狐(きつね)を使者とし、多くの稲荷神社で崇拝されています。この神様は商売の繁栄や五穀豊穣をもたらすと信じられています。
稲荷大臣がなぜ稲作と豊穣の神と呼ばれているかについては次のような逸話があります。
昔ある豪族がある日お餅を的にして矢を射っていると、そのお餅が白い鳥になって飛んでいきました。そしてその鳥が降り立った山には、稲がたわわに実っていたのです。その豪族はそこにお社を建て、「稲生(いなり)」と呼ぶようになりました。
つまり稲荷は昔は「稲生」と書いていたのです。これが稲荷大臣が稲策と豊穣の神と呼ばれる所以です。
7. 大国主命(おおくにぬしのみこと)
大国主命は土地と国土の神で、豊かな自然と国の繁栄を司ります。彼はスサノオの子孫とされ、多くの地域で豊かな収穫と安全な生活を願う人々に崇拝されています。
大国主命はかつて出雲の国を治めていましたが、天照大神が送った神々の実力に恐れをなし国を譲った「国譲り」という有名なエピソードがあります。
8. 八百万の神(やおよろずのかみ)
様々な神々の総称を指しています。この考えは神道の中心的な概念であり、自然との和の精神を反映しています。山、川、木々、岩など、自然界のすべての要素に神聖な存在が宿るとされています。
9. 蛭子神(ひるこのかみ)
蛭子神は海の安全と漁業の守護神です。彼はしばしば人々の安全な海上旅行を守るとされ、漁師や海に関わる人々に崇拝されています。また、彼は病気の治癒や健康をもたらす神としても信仰されています。
蛭子神はイザナギ・イザナミの間で最初に生まれた神でしたが、身体が弱く3歳になっても脚が立たないので船に載せられ海へ流されてしまいました。
日本では古来、海の彼方からやって来くる神を来訪神と呼びました。海辺に暮らしている人々にとっては海の恵なのです。そうした来訪神を人々は「エビス」と呼び、豊かさと幸運をもたらす神とし、大事に祀るようになります。
蛭子神は海へ流されてしまいましたが、それがきっかけでいつしか恵比寿の神としての地位を確立し、今では日本中から崇拝されるようになりました。
(画像引用: THE GATE)
10. 富士山神(ふじさんじん)
富士山神は、日本で最も有名で聖なる山である富士山を守護する神様です。富士山は古来より信仰の対象であり、その美しさと威厳は多くの文学作品や芸術に影響を与えてきました。富士山神は、自然の力と美しさの象徴として、登山者や芸術家によって崇拝されています。
また富士山の火山活動を鎮め、安全を保つ役割も担っているとされています。 この神様は、自然と人間の調和、そして自然の偉大さと脆弱さを象徴しており、日本人の自然に対する敬意と畏怖の感情を表しています。富士山神は、日本文化における自然観の深さと、その自然に対する敬意を象徴する存在なのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回紹介した神様に限らず、日本のこれらの神様たちは、日本の神話において重要な役割を果たし、日本の文化や信仰に深く根差しています。それぞれの神様はユニークな物語と象徴を持ち、日本人の日常生活や自然観に影響を与えています。
興味を持った方は是非お気に入りの神様が祭られている神社へお参りへ行くのもどうでしょう?皆様がもっと日本文化に興味を持っていただけたら幸いです。